2012年12月15日
読書録 「民主主義という不思議な仕組み」佐々木 毅 を読む1
「民主主義は実に不思議な仕組み。…何千万人もの人々が投票をして政治の行方を決定するというのは、全く気の遠くなるような話… 大変な手間がかかるし、お金もかかる…それだけではなく、投票する人は本当に何を考えて投票しているのか、そもそも自分でわかっているのでしょうか…」
「分かったつもりでも、本当は騙されたり、間違った情報に従って投票したりしているのではないか…。それどころかかなりの数の人々は、何も考えないでテレビに映った政治家の見かけやスタイルに引きずられて、投票所に足を運んでいるのでは…」 「国民の何割もの人々が、投票権があるにもかかわらず、その日にどこかに出かけたり、面倒などといって投票に行かなかったりする。」 「それでも国民の審判が下るというのはどういうことでしょう。」 「そういうことで昔から、優れた徳のある、十分な教育を受けた少数の人間が政治を取り仕切るのが、政治のもっともよい姿であるという主張が繰り返されてきた(もっともこうした優れた人間が誰のことであり、誰がそれを発見するかは簡単ではない)。」 「民主主義を一度も経験したことのない社会や世代は、民主主義をとにもかくにも『素晴らしいもの』と考え、そうした立場に立ってそれを描き、讃えようとする。しかし、長い間にわたって民主主義を実践し、体験し、その実情を目にすることが増えてくると、こうした議論はなかなか人々の賛成を得られなくなる。いろいろと訳のわからないことや、いい加減なことが数多くあることを否定できなくなるから。」 「問題はその先…『それでは他にどんな方法があるのか』」 「21世紀は『民主主義の世紀』と呼ばれたように人類は実にたくさんの政治上の実験を行ってきた。整然とした政治実現のための仕組みや、本当の意味での『人民のための政治』を実現するための試みも行われた。ファシズムや共産主義はその代表例といえる。」 「民主主義に対するさまざまな批判は、確かに鋭く説得的にみえたにもかかわらず、それに代えて実行に移した代案をみると、その結果は決して芳しいものではなく、民主主義以上に惨憺たるものだった。」