2012年02月19日
読書録「ギャンブル依存症」 田辺 等を読む3
「事例② 平凡な中堅社員 - どこか納得いかない自分を離れて
ギャンブルに没頭する前には、どこか漠然とした自己不全感があった。
たまたまの賭けでの勝ち(5万円ほど)が単調で退屈になりかけて
いた人生を一変させた。
自宅では妻が障害のある次男の養育に尽力している。妻の大変さは
わかっているつもりでも、自分はもともと不器用で何もできない。
事情があるだけに、妻にあまり要求もできない。家の外で
発散したい気持ちになる。
働くのが嫌いではないが、大卒の人が中心の職場では、何も
主張できず、職場での立場に納得できないところがあった。
ギャンブルに出会ってから人柄が様変わりしたようになる。
勝ち目があるはずと夢中になり、賭けるお金が増える。
消費者金融から容易に借りてしまう癖ばかりが残った。
最後は親兄弟に尻拭いしてもらうことを繰り返した。
仕事が好きでも、学歴で負けてしまい出世争いでは
遅れをとる。ただただ上司の命令に忠実となった。納得
できないことがあっても、何らかの自己実現、自己表現を
望まないようになった。職業生活での自己実現という欲求は
どこかに飲み込んでしまった。その分、アフターファイブと
週末に彼は思う存分遊ぶようになった。」
「ギャンブル依存症が発生しやすい心とは
・日常生活での充足感・充実感に欠けていた
・自分への肯定感がもてない、他者と比較してダメな感覚があった
・仕事(学業)に取り組んでいる自分が本当の自分ではない気がする
・何を目標として生きるべきか見失っていた
・空虚・空白、憂鬱な気分が続いた
これを心理学的に言い換えると
①フラストレーション(欲求充足不全)の問題
②セルフエスティーム(自尊感情)の問題
③アイデンティティー(自己同一性)、とくに職業的アイデンティティーの問題
④空虚さや軽い抑うつ感等、気分の問題
これらが背景にあり、このような状況でギャンブルに出会い
勝負にドキドキし、興奮し、ついに勝利し、勝利の達成感と
戦利品の数万円の金銭を得た。
彼らは有能感を得た。勝ちはすっきりした気分をもたらせた。
気分は軽快になり、日常生活での不満は一時的にも吹き飛んだ。
自分はすごいと思った。そして結局のところ、皆一様にギャンブルを
やりすぎてしまった。」