読書録 「悪夢のサイクル」 内橋克人を読む2読書録 「悪夢のサイクル」内橋 克人を読む3

2011年11月23日

読書録 「悪夢のサイクル」内橋克人を読む3

本の第4章

チリとアルゼンチンの例を紹介している。

「フリードマンは・・・チリのピノチェト政権の
自由主義的政策の思想的なバックボーンで
あったとされる。」

「ピノチェトは1973年、選挙によって選ばれた
アジェンデ政権を軍事力で転覆させて
権力を握ったチリの独裁者。」

「当時のニクソン政権はこの軍事独裁政権の
誕生を歓迎した。というより社会主義者の
アジェンデが大統領になることを阻止するために
CIAはふたつの作戦を実行した。」

「チリの軍政下におうてピノチェトは
『シカゴボーイズ』と称されるフリードマンの弟子筋の
学者、経済の専門家を経済閣僚として登用した。」

「チリに限らずアルゼンチンなどでもシカゴの自由主義
経済学を学んだシカゴ・ボーイズが官僚中枢部、
行政機構の中枢部に入り込んでいった。」

「そしてこれらのくにでは新自由主義を政策の柱と
するようになった。」

「ピノチェトは75年の不況の後に、シカゴ帰りの
秀才たちに経済政策を頼り、原理主義的とも
思える自由主義政策を採用した。国民の大半をしめる
勤労者層を貧困におとしいれ、一部の裕福層と外国
資本が莫大な富を得ることを助けた。」

「82年のメキシコ累積債務危機に端を発し、ラテン・アメリカ
の経済危機を境に、政策の修正をよぎなくされた。」

「ピノチェト軍政は89年に行われた大統領選挙で
中道・左派連合が勝利したことで終わりを告げる。
コンセルタシオンとよばれた新政権では、軍政期における
極端な自由放任政策と資本家有利な制度を見直す、
社会的政策によって、貧困層比率は半減、所得格差
が改善された。」

「アルゼンチンではチリのピノチェト政権発足から3年後
の1976年、クーデターによってビデラ軍事政権が成立。
チリと同様、新自由主義的な改革が行われた。」

「金融規制緩和などの自由化政策は海外資本の
流入を呼び、国内市場は活況を帯び、当初、功を
そうしたかに見えた。しかし、1980年には、財政と貿易の赤字を
嫌ってそれまで流入した外国資本が大量に流出し
為替は暴落、通貨は価値を失って物価は高騰し、外貨
準備不足から対外債務危機に襲われ、一転して
大不況に陥る。」

「経済危機から国民の目を逸らそうとして行ったイギリス
とのフォークランド紛争にも敗北。軍事政権は崩壊。
紛争後は、それまでの経済混乱に加えて戦費調達の
ために大量の国債の中央銀行引き受けを行ったため、
通貨供給過剰により、アルゼンチンは80年代後半に
年率5000%にも及ぶハイパーインフレに見舞われる。」

「80年代の国内産業保護政策を一転させ、
91年に国内通貨ペソを米ドルに対して固定する制度
を導入、通貨の安定を図った上で、70年代に続く
新自由主義改革を行った。チリは新自由主義によって
市場の振幅が大きくなると、市場を制御する道を選択した。
アルゼンチンは逆に、さらなる自由化政策をもって解決
しようとした。」

「さらなる記入自由化や公営企業の民営化、雇用制度をより
柔軟にするための労働改革など、徹底した市場化改革が
行われた。それまで逃げていた外国資本が再びアルゼンチン
国内に流入するようになった。資金の流入により
景気は好転、通貨の対ドル固定によってインフレは
沈静化し90年代半ばまでの数年間、アルゼンチンは
高い成長を実現した。」

「ところが97年にアジア通貨危機が南米にも波及。隣国
ブラジルのレアル危機などを通じて、ドルに固定された
ペソは周辺国の通貨に対して割高となってしまい、
98年以降は輸出が低迷、不況に陥った。」

「さらに貿易集の悪化から90年代前半に同国に
流入していた海外資本が一斉に引き上げ始め
80年の債務危機と全く同じパターンで、ドル流出に
よる外貨準備不足と対外債務返済不能危機に陥った。」

「2001年には深刻な金融危機が国内にも影響を
及ぼし2002年には両替や預金引き下ろしなど
すべての国内銀行業務が、中央銀行の通達によって
停止され、アルゼンチン経済は大混乱にまきこまれた。」

「アルゼンチンの国民は、預金を引き出すこともできず、
失業者は街にあふれた。」

「新自由主義政策による資本移動の自由化と金融規制の緩和は
海外からの資本流入による一時的な活況を生む。
しかし、実体経済の強さを伴なわないバブル的好況は
多くの場合、経済の実態以上の通貨価値の上昇につながる。
そこをねらってヘッジファンドなどの投機的資金が集まり、
その国の通貨の「空売り」等を仕掛けて通貨の暴落を演出し
その結果、それまで流入してきた大量の資金が一気に
国外に逃避、バブルは崩壊し、実体経済を道連れにして国家
経済を破綻させてしまう。」

「アルゼンチンでおこったのは、アルゼンチンの企業や国営事業が
外資によって支配されていった。その家庭の中で貧富の差は拡大し
国土は疲弊し、人心は荒廃する。」

「1986年から始まったバブルと、国、自治体、企業をあげての
謝金競争、そしてバブルの破綻による自治体、企業、金融機関の
不良債権の山、それを整理すると称しての『規制緩和』『自由化』
という『改革』。そのすえの弱小企業の淘汰、雇用の喪失、
貧富の格差の拡大、外資の進出・・・。
日本はネオリベラリズム サイクルがちょうど一巡しようとしている
ところ。
ライブドア事件の直前、2005年ぐらいから起こり始めた
東京の地価と株価の上昇は、いったんこわされた
日本が割安だとして、再び資金が流入してきたことを意味していた。」

「80年代、チリやアルゼンチンに続いてほかのラテンアメリカ諸国でも、アメリカの
ビジネススクールに学び、各国で市場原理主義的改革が行われている。
しかし、結局は、『従属』『低開発の発展』の問題を解決できず、
資本と貿易の自由化によってアメリカを本拠とする多国籍企業が
それぞれの国の市場を支配し、利潤を搾取して国外に持ち去ると言う
構造が確立されてしまった。新自由主義を採用した国では
貧富の差が拡大し、国富が国外に流出し続ける社会になってしまった。」



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