2012年03月

2012年03月11日

読書録「正しいリスクの伝え方」 小島 正美 を読む

読書後の備忘録なので、
キーワードを書き散らしてある・・・・。


ポリオワクチンについて

ポリオ感染→急性灰白髄炎→小児マヒ
1960年頃までの日本では
ポリオが多く発生(6000人/年)



カナダやロシアからワクチンを輸入



ワクチンには
「生ワクチン(経口)」
「不活化ワクチン(注射)」
生ワクチンは感染の危険性がある

未だに生ワクチンを使っている国は日本、パキスタン、アフガン

1981年から日本では
自然のポリオウィルスに
よる感染例はゼロ

過去30年 予防接種(生ワクチン)で小児マヒが起きている。


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風評被害について

「マスコミを介した予想の自己成就」
           ↓
「報じること自体が風評被害を起こす」
いったん危なそうな現象が起きると
マスコミ報道を通じて人々の間に
「不安の連鎖」が生じる
           ↓
危険情報→消費者の買い控え予想→流通業者の取引変化
→買い控え行動 → 報道! → 風評被害のパニック

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解説 :情報発信の場合

「最初の情報が人々の判断の基準点になる」
→アンカリング(心理用語)
 例) 物を売るとき 10万円と提示
          ↓
    6万円にする、という
          ↓
    客の心は揺れ動く

   小売業では日常茶飯事のこと

失敗例) 英国のBSE問題
      最初にリスクは小さいと政府は発表
      国民はリスクの大きさを判断するようになる
      
      →実は、リスクは大きかったと後に発覚。
       国民の怒りが爆発。

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客観リスクと体感リスク

客観リスク=危険なこと(ハザード)×その頻度
体感リスク=心理的な要素が加わる

客観リスク:専門家が考えるリスク
       (例) 毒性の強さ×体内摂取量(発生頻度)

体感リスク:読者や消費者が考えるリスク
       (例) 毒性の強さ×(企業の情報隠し)
                  ×(自然か人工か)
                  ×(組織への信頼感があるか)
                  ×(行政の対応におくれはあるか)
                  ×(世間が不安を思っているか)
                  ×(自発的に引き受けた)
       自分でコントロールできないリスクは大きく感じ
       自分でコントロールできる自発的リスクは小さく感じる
        例えば たばこ:自分の意志で吸うたばこのリスクはゼロ


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日本におけるBSE問題

プリオン  日本で初めてBSE感染牛が見つかったのは
       2001年9月

       日本では全頭検査に
       「全頭検査は安全」 → 幻想にすぎない

       西欧では、30か月以上の牛しか検査しない
       
     農水省「若い牛を検査しても異常プリオンタンパク質を
          検出することは難しい。」
              ↓
     世論や政治家は納得しない
              ↓
     背景に農水省への不信
           肉骨粉を焼却しなかったので、流通していた
           それを焼却したと発表
     
     政府への信頼感がないと
     どんな科学的なことをいっても信用してもらえない

     全頭検査をしても100%検出できない
     危険部位の除去が必要
     肉骨粉が飼料にまじらないようにする規制が安全確保より必要

     ピッシング(検査方法) 
     脳内にワイヤーを差し込む。脳や脊髄を破壊。
     脳内に異常プリオンがある場合は
     血液に入り汚染される可能性がある。

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     リスク伝達で難しいのは
     安全なのに、安心できない(不安)とき
     7つのケースについて紹介されていた。


    
          
                    









dragonfruit123 at 10:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 読書録 

読書録「東南アジア ニッポンの廃車両」 斉藤幹男を読む

フィリピン、マレーシア、ミャンマー
インドネシア等の日本の廃車両活躍の
場の紹介。

旅のスケジュールなども示されている。

dragonfruit123 at 09:37|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 読書録 

読書録 「『ボランティア』の誕生と終焉」 仁平 典宏 を読む

サブタイトル <贈与のパラドクス>の知識社会学


ナイジェリア系イギリス人
インカ・ショニバル
→アフリカに注がれる
 コロニアリズム的視線を
 鋭く捉えかえす作品を作ってきた
 現代芸術家
『ビクトリア朝 博愛主義者の談話室』


著者が大学3年の時に
『自分から最も遠いと思うフィールドに行きなさい』
といわれた、というあとがきが印象に残った。

dragonfruit123 at 09:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 読書録 

2012年03月04日

読書録「中尾 佐助著作集」第三巻 探検博物学を読む

日本人として初めてブータンに
いった。
この著作集では

「秘境ブータン」
「農業起源をたずねる旅」ニジェールからナイルへ
「探検紀行」小興安嶺・モンゴルとヒマラヤ
「私の探検論」

戦前から戦後にかけての海外での調査の
話がとても面白い。

植物とその土地で生活する人々との関係
との考察や記録など。

探検論は現代における冒険の意味、
英国と日本での冒険に対する受け止め方
の違いなどに言及されている。



dragonfruit123 at 10:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 読書録 

2012年03月02日

読書録 「やめられない」 ギャンブル地獄からの生還を読む4

最終章「ヒト社会のギャンブル行動」

「ギャンブル(博奕)の定義は、英語の
ウェイブスター辞書によると、
『未来の出来事を予見するゲームに
金品をかけること』であり、
広辞苑では『財物を賭け、さい、花札、トランプなどを
用いて勝負を争うこと』となっている」


「ヒトのギャンブリング行動がいともたやすく常軌を
はずす病態に至る事実も、古くから注目されて
いた。古代エジプトでは、ギャンブルで作った
負債を返すために、石切り場の労働者に
なった貴族もいた。古代ローマのネロ皇帝は
サイコロゲームに毎回今日の金額にして
五百万円相当を賭けていたという。古代
インドの叙事詩マハーバーラタには、
やはりサイコロゲームにのめりこみ、真珠や金を
賭けることから始まり、家畜や領土も賭けて失い、
最後には妻と自分までも賭けてしまった
王子の話が載っている。」

「ギャンブリングが容易に過度な嗜癖に陥ってしまう
事実を重視したのは、各時代の為政者たち。
その社会的弊害を防止、予防するために、その時々に
さまざまな禁止令をだした。

日本の例をひくと、日本書紀に最初の記録がある。持統天皇三年
(754年)に双六が禁止された。奈良の大仏の開眼の翌々年、
天平勝宝(754年)に出された双六禁断の法には、
役人に対する細かい刑罰が決められている。

六位以下の者は杖打百度、五位の者は現職の解任、および位禄と
位田の召し上げ。四位以上の高官になると、農民を支配下におく
権限、つまり封戸の没収です。領内のギャンブリング行動を
知りつつ黙認する国司や郡司も、解任。
しかも密告者には位階を授け、報奨品まで与えている。
役人の間に蔓延する過度なギャンブル嗜癖に、日本の
古代国家がいかに苦慮したか、この禁止令からもわかる。

・・・・ギャンブリング行動は、アヘンやコカイン同様、簡単に嗜癖に
陥り、個体や社会をむしばむ事実を我が国の為政者は古くから
見抜き、国家権力によって取り締まるべき対象にしていた。
こうした危機意識の底には、ある特定の人間だけが病的
ギャンブリングに陥るのではなく、人間誰しも環境によって
この悪癖に染まるという共通の考え方が指摘できる。」

「こうした認識と施策の流れが手のひらをかえすように
一変したのは、第二次世界大戦後。戦後復興を
掛け声にして、公営ギャンブルが花盛りになった。
競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじの五つが
出揃い、現在では6つ目のサッカーくじも加わっている。
さらに近年、カジノ創設があちこちの自治体で取沙汰
されている。」

「公営ギャンブルでは、ある程度の規制はかけられている。
設置場所や宣伝方法にも制限がある。日本で問題
なのは、世界的な基準とは全くかけはなれた
施策として、パチンコ・スロットがギャンブルと
みなされていない点。」

「単なる遊戯なので、ギャンブル産業に当然課せられる
べき規則がない。野放しに等しい。」

「パチンコスロットは人為的に操作される機器が相手。
すべてコンピュータで制御できる。そのため胴元は
顧客のギャンブリング行動を誘発させ、維持させ、
嗜癖に陥らせるさまざまな工夫をする。
その種の戦略は、規制がないのでほとんど
やりたい放題。」

「まず勝ち負けは偶然(といっても胴元が勝つように
設定されている)なのに、ギャンブルする側の
<技術>でどうにでもなるような錯覚を与える。
顧客はその<技術>をつかもうとして、
深みにはまっていく。まやかしに満ちた攻略本購入
に費やす十万円、二十万円も惜しくはないようになる。」

「次に、当たり金の大きさが、初勝ちを印象付けるとともに
興奮度を高める。大勝ちすると、それ以前の負けの
口惜しさはかき消され、勝だけが記憶に刻まれて
自分には才能があるのではないかと錯覚する。」

「さらに新台入れ替えのチラシが、束になって新聞と
一緒に家庭に届けられる。おしなべて新奇なものに
目がないギャンブラーは、誘惑を抑えきれない。」

「そして店内は、音と光の渦。当りがでると、音と光と
映像で、顧客の頭にはしっかり条件反射の基盤が
できる。嫌なことをすぐにでも忘れてしまいたい
病的ギャンブラーにとって、店内はまたとない桃源郷
を提供する。」

「最近では、託児所を設けるパチンコ店も多くなった。
ギャンブル場に託児所を置く国などどこを探しても
ない。生まれた時からギャンブル場で過ごす幼児が
大きくなってどうなるか自明の理。」

「ギャンブルのみが世界の基準とはかけ離れた
鎖国状態のなかで、200万人ともいわれる
病的ギャンブラーを生み出している。
これには、個々のギャンブルの所轄官庁が
異なっていることも大きな要因になっている。」

「中央競馬と地方競馬は農林水産省、競輪と
オートレースは経済産業省、競艇は国土交通省。
サッカーくじ(スポーツ振興くじ)は文部科学省、
宝くじは総務省が管轄。そしてパチンコとスロット
は警察庁。」

日本の大企業と同じくらいの経済規模(30兆円)を
もつパチンコスロット。
玉を転がすだけで生み出される利潤の裏の世界が
わかる本だった。
本人というより周りが巻き込まれる壮絶さ。
周りが援助することでますます病に陥る
恐ろしさが分かった。


dragonfruit123 at 18:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 読書録