2011年07月

2011年07月10日

読書録 「人類が知っていることすべての短い歴史」ビル ブライソンを読む

2011年7月10日 最高気温35度

科学などについて取材をして分かりやすくかかれた本。
話題が多岐に亘るので、頁数は600ほどになる。

私は、20章の「小さな世界」が面白かった。

清潔とか除菌とかいうけど、私たちは自分の体の中にも
外にもたくさーんの細菌さんたちと共存しているんだなーと
思った。目に見えないから気付かないだけで。

●細菌の貢献

「実際、細菌から逃れようとしても、むだだ。細菌はみなさんの
体やその周囲に常に想像もつかないほどわんさといる。
健康で、人並みに衛生に気をつけている人の体表では、
一兆もの細菌が食事をしているはずだ。一平方センチ当たり
十万という計算になる。細菌たちは、みなさんが毎日
脱ぎ捨てる皮膚の百億片ほどを平らげるだけでは足りず
手穴という毛穴から染み出すうまい油脂や強化ミネラルに
ありつこうとねらっている。温かくおまけに移動性も備えた
人間は、細菌たちの究極の屋台村というわけだ。」

「以上は皮膚に棲む細菌の話だ。そのほかに何兆もが
腸や備考に隠れていたり、髪やまつげにくっついていたり、
目の表面で泳いでいたり、歯のエナメル質に穴をあけたりしてい
たりする。消化器系だけでも、少なくとも四百種類、百兆の
細菌が棲んでいる。あるものは糖をあるものは澱粉を処理し
あるものは他の細菌を攻撃する。腸のいたるところにいる
驚異的な数のスピロヘータのような細菌は
それとわかる働きを持たない。単に人間と一緒にいるのが好きらしい。
どんな人間もおよそ一京(10の16乗)個の細胞でなりたっているが、
それ以外に細菌細胞を十京個も抱えている。」

「細菌は何十億年ものあいだ、私たちなしでやってきた。
私たちはといえば、彼らなしでは1日たりとも生きられない。
細菌はわたしたちの排泄物を処理して、それを
再利用できるようにする。彼らが精を出して咀嚼してくれなかったら
何物も腐敗することはない。細菌ははわたしたちの水を浄化し
土地を肥沃に保つ。・・・・」

人間中心ではなく微生物や細菌の視点も交えて
人間との関係を解説しているので面白い。
私たちに恵みをあたえてくれるとともに、
そうでないものもいる。

「宿主の具合を悪くするのは、微生物にとって好都合なことだ。
病気の症状がしばしば疾病を広めてくれる。
嘔吐、くしゃみ、下痢などは、ある宿主から別の宿主に移る格好の
手段となる。最も効果のある戦略は、移動性を備えた第三者の
協力を得ることだろう。病原体が蚊を愛好するのは、蚊の毒針
から直接宿主の血液の中に入り込めて、相手の防衛機構が
侵入者を突き止める前に、すぐ活動を開始できるからだ。
そのために、非常に多くのA級疾病、マラリア、黄熱、デング熱、
脳炎そのほかの疾病が、蚊のひと刺しで感染する。
エイズの病原体がその中に含まれていないのは、幸運の偶然と言える。」

「きわめて多くの病気は有機体が皆さんの体に対して行ったことのせいでは
なく、みなさんの体が有機体に対して行おうとしていることのせいで起こる。
蚊rだから病原体を排除しようとして、免疫システムは細胞を破壊したり、重要な組織を
損傷したりする。だから、具合が悪いとき、多くの場合、みなさんが感じているのは
病原体の攻撃ではなく、自分自身の免疫反応なのだ。
いずれにしても、体調をくずすのは、感染に対する利にかなった反応だ。
病人たちは、床に臥せり、そのおかげで、より広いコミュニティへの感染が
抑制される。また休養が体力の消耗を防ぎ、感染の治療に専念させることができる。」



dragonfruit123 at 18:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 読書録